Thursday, January 5, 2012

結局、金と権力か(GPO編)

昨夜、Punctureという ちょっと暗めでオモーイ洋画を観た。

同作は、敏腕弁護士でありながら薬物中毒者である主人公がパートナーとともに、汚染注射針による感染した一人の看護婦の事件にかかわっ たことで、背後で操る政府の陰謀に気付き、医療業界の腐敗を暴いていくという実話を基にしたドラマ作品。どちらかといったらジョン・グリシャムの『原告側弁護人』を原作に、巨匠フランシス・フォード・コッポラが映画化した法廷ドラマ、The Rainmakerや99年にアカデミー賞を受賞したInsiderっぽい流れの映画かな。

この映画の影響か、米医療業界の実態を知りたくなり、少しリサーチしてみたらショッキングな話(というよりも呆れた)が続々出てきた。中でも医療共同購買組織(Group Purchasing Organization;GPO)が仕掛けたスキーム話。

医薬品や医療材料コストの引き下げに大きく貢献していると知られるGPOだが、実際はその逆で、同組織による大手医療メーカーや病院とのキックバックが年次の医療費負担をさらに膨らませていたらしい。ナビガントコンサルタント社(UK)が2010年に発表したレポートによると、キックバックで膨張されたその年のコストは、なんと375億ドル(約2兆8920億円)。そのため我々、納税者が 政府の医療介護オプション(メディケアとメディケイド等)で負担した額は173億ドル(約1兆3337億円)にも及ぶ。高い値段で医療品が売れば売れるほど、GPOは多くの収入を稼ぐことができるが、その分メディケアとメディケイドの費用も上昇、こうして我々に付けが回って来るのである。

またPay-to-Playと呼ばれるGPOが仕組んだスキームでは、医者や看護婦ではなく、病院の購入代理部門が同組織を通じて医薬品や医療機器などを選び認定するため、資金力のある大手医療メーカーが商品の物流を完全独占してしまう。そのため安全注射器、ペースメーカーや癌の処方箋といった、患者および従業員にとってより安全でより費用効果が大きい商品が、たとえ紹介されたとしても、病院や他の医療機関の利益効果がなければ使用されることは殆ど有り得ない。つまりGPOが重視しているのは商品の品質よりもキックバックのサイズだということ。

何処の国でもよくある話だけど、とにかくGPOには絶望したわ。

   図解:GPOによるキックバックとスキーム

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