Thursday, January 26, 2012

強制的仲裁条項(Mandatory Arbitration)

我々、一般消費者が企業を訴えようとする場合、ある程度、資金に余裕が無ければ、訴訟費用と時間の負担が割に合わなくなり、提訴する意味がなくなって、事実上、代償が取れなくなるといった問題が生じる。

そこでこうした問題の解決策として、一個人が、同じような立場にある多数の人々を代表して訴訟提起し、請求を集団的に効率よく行うことができる制度、クラスアクションを起こすことで司法救済を受け取ることができる。

しかしクラスアクションは、しばしば請求総額が莫大なものとなり、企業にとって敗訴した場合の負担する金額があまりに過大となるため、提訴リスクを低減させるための試みの一つとして、クラスアクション放棄条項を含む仲裁条項が企業の売買契約書や雇用契約書等に記載されている。

こういった条項のなかでも、従業員が企業に対して訴訟を起こすことを禁じ、調停に持ち込むことを義務づける、強制的仲裁条項(Mandatory Arbitration)は、消費者や従業員に対し、もの凄くたちが悪い。

今までMandatory Arbitrationによって人生をめちゃくちゃにされた人達は数え切れないほどいる。中でも2007年に元女性従業員が、イラクで同僚らから集団レイプに遭ったことを連邦議会で証言、会社が隠蔽工作をしたとハリバートンとKBR社を訴えていたケースは大きな話題を呼んだ。

KBR社の元従業員、ジェイミー・リー・ジョーンズ氏がバグダッドに赴任したわずか4日目の夜、同僚の男性従業員達に薬を盛られ、レイプされた。彼女が受けた暴力行為は、後に再建手術が必要になったほど酷いものであった。

おまけにジョーンズ氏の身体から採取された体液のDNA型鑑定の結果などといった物的証拠が、会社側のセキュリティーによって紛失してしまう。そのため刑事事件として持ち込むことが不可能となった彼女は、民事訴訟によって会社側を訴えようとするが、以前に署名した雇用契約書の一部として記されMandatory Arbitrationのせいで、実現することができなかった。

調停の選択を選べば、全てがなかったことにされると確信したジョーンズ氏は、メディアを通じて訴え続けた。結果、2009年に仲裁及び調停における修正案が米国議会で可決され、この事件をようやく法廷へ持ち込むことができた。

しかし2011年7月、大陪審おける審理の結果、被告である元KBR社のコントラクターのレイプ罪は同意の上でのものだということで無罪となり、彼女のケースは法廷で無念にも敗退した(企業の圧力が相当強かったのではないかと十分考えられるが?)。


悲しいことに企業や政府によるこのような不平等性増している条項やSneakyなスキーム等まだまだいくらでも存在する。被害を被らないよう、しっかりアンテナを広げ、自らの身は自らで守れるよう常に心掛けるべきである。

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