Tuesday, December 27, 2011

ビレイループの誤用

デイジーチェーンやスリングなどをビレイループに直接ガースヒッチで装着することはごく一般的だと思うが、実はこれ、誤用だとあるエキスパートは言う。

登山/クライミング用具の強度規格を策定している国際山岳連盟(UIAA)の基準では、ビレイループの支点強度は最低15kNであり、この荷重を3分間保持することができなければCE検査には通過できない。

ちなみに市販で売られているハーネスのビレイループは22-26kNを目安に強度を確保するよう設計されているクライマーのちょっとした墜落でだいたい2~3kNぐらいだといわれている。またビレイループは2つ以上のレイヤーで覆われ補強の網目を施しているため、切断するにはかなりの強度が必要。そのためリードクライミングによる大きな墜落での破損は殆どありえない。

しかし そんな ハーネスでもっとも強いパーツといわれているビレイループでも、長い間、スリングをそこにガースヒッチで装着してれば、摩擦で著しくすり減って、やがてループが破断するなんてことがある。ベテランクライマー、トッド・スキナーの懸垂下降中に起きたヨセミテ転落死事故がまさにそれだ。恐ろしいことに、ロープには確保器と安全環付カラビナが残ったまま現場で発見されていたという。

また同氏のハーネスの劣化について数日前からパートナーが指摘していたらしく、そのため同氏も新しいハーネスを注文していたが未だ手元に届かなかったたため、仕方がなく問題のハーネスを着用していたとのこと。

ビレイループはその名の通りビレイするために設計されたループであり、スリングなどをそこにに直接ガースヒッチで装着すれば、ループの劣化が進むのは当然といえば当然であろう。その代わりにこれらをタイインポイントで結ぶことでビレイループが破断する可能性は減少され、ハーネスの寿命もグーンと長引く。 
デイジーチェーンやスリングなどをビレイループに直接ガースヒッチで装着した例
デイジーチェーンやスリングなどをタイインポイントに装着した例
クライミング器具には寿命がある。使用する前後は、破損や磨耗がないか必ず点検するよう心掛けるべきであろう。それが自らができる最大の事故防止策なのである。

警告 : ここに書かれている情報を参考にされる方は、あくまでも自己責任でお願い致します。

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